契約書を作成する上での注意事項
1.契約書について
一般的には、どのような内容の契約であっても世の中には見本となるパターンが入手しやすくなっていますので、形式や文章の書き方はそれに習えばまず問題が無いということが言えます。
でもそれらはあくまでも一般的ということでのものですから、ケースのよっては追加して条文を盛り込むということも考える必要があります。
たとえば、マンションやアパートの賃貸借契約書の例で言えば、様式を販売しているものさえあり、貸す方と借りる方が住所・氏名を記入して日付や契約期間を確認して調印しさえすればよいという具合です。
でも、東京都の条例などを踏まえると、原状回復に関しては自然損耗は貸主負担としながらも、ある程度の金額を敷金などから徴収するということも認められていることもあって、追加条文を設けるということが行われています。
もちろん当事者間であってもエアコンは設置してあるが、故障した場合は借りた方の負担で補修するか交換するという取り決めをすれば、それは追加条項として書き込むというようなこともあります。
金銭消費貸借の契約なども、一から作成するよりは市販のものを活用する方が便利で簡単だということになります。
でも世の中的にはすべてのことをそれで賄うというわけにも行きません。一般的でないこともあるからです。
大手の会社ともなると、弁護士など法律家にあらかじめ相談し、その会社用の契約書を作成することもあります。
そして取引先とか、下請け・外注との関係では、その契約書に調印させるというやり方が多くなっています。
同じパターンでないと管理がしにくいという理由からですが、規模が小さい方としては例外事項なども対応して欲しいと思っていても、応じてもらえないということになりますが、力関係からするとやむをえないということになるのでしょう。
2.企業間の提携の際の注意点
さて、こうしたこととは別に、何かの取引を対等の立場で契約するということを想定すると、いくつか注意しなくてはならないことがあります。
たとえば、企業間の提携というときに、よく行われるのは、「00に関してその生産・販売に連携するため、00会社と00会社はこの契約を締結する」という前文から始まりますが、新規とかそれまで取引関係がないという場合は、前述したようなシンプルでない前文の方が良いこともあるのです。
それは提携に至った経緯や提携の目的ということを明確に示しておくということになります。
大手企業の場合、そのような文章を入れようとすると、多くの部門が関与してああでもないこうでもないという論議が起こり、まとまらなくなるので避ける傾向がありますし、当該会社間でも駆け引きの対象となることもあって実現が難しいのですが、そうでない場合はいわゆる憲法というような意味合いもあるので、明確にしておく方が賢明と言えます。
年月を経て取引実態が変化してきたような場合、お互いの立場や主張が代わって来ることが往々にしてあり、論議がかみ合わなくなることが想定できますが、そうした場合に提携の原点に戻ろうということで前文が生きてくるということになるからです。
後は実務的な面を含みますが、「この契約書に定めがない事項については、両者が誠意をもって協議し、解決するものとする」という言葉や「契約で定めた内容に疑義を生じた場合は、お互いに速やかに対処し、協議するものとする」というような想定外事項に対する対処の仕方も明文化しておく方が、話し合うということを重視するためにも重要なこととなります。
3.有効期間を定める
契約書本文では書き切れないこと、たとえば品物の単価が年々変わっていくことが想定できるとか、細かい手続き面も文章化しておく必要があるという場合で、それを本文に盛り込もうとすると契約内容が膨大になって分かりにくくなるとか、そのために新たに契約締結を都度するのはお互いに手間暇がかかりすぎるというような場合は「00の具体的な金額や手続きについては別途覚書を締結する」というようにして、本文から外すということも考えた方が良いと言えます。
契約には両者が調印し、締結した日付を記入しますが、それとは別に有効期間を定めるのが一般的です。
また有効期間が満了したときに、同一内容で同一期間延長するというような定めも一般的にしますので、特別な理由がない限り、それは設けておいた方がいいということが言えます。
ただし、無条件ではなく「いずれか一方あるいは双方から3か月前までに解約の申し出がない限り」という文言を付けておくと、期限近くなってあわててしまうということがなくなるのでおすすめになります。
また途中でどちらかが解約したいという事態が起こることも想定して、解約申し入れについても定め、その場合の手続きも明文化しておくとさらに完璧なものとして完成します。
そして、結びに際しては、万が一を想定して、裁判所に判定をゆだねる場合は、00裁判所とするということも盛り込んでおけば、契約書としての備えも十分となります。
参考文献
・https://kigyobengo.com/contract
最終更新日 2025年7月7日 by boomsabotage